フッ素樹脂コーティング講座

簡単にわかる「フッ素樹脂コーティング講座」

耐食性て、何?(1)
No.4

「炊飯器のフッ素樹脂は耐食コーティングです。」と言われ、最初は不思議な気がしました。確かに、水蒸気は発生しているし、炊き込みご飯を炊く時には塩や酢の様な調味料が入っています。つまり、有機酸・塩・水蒸気が存在し、鉄ならば容易に腐食する環境にあります。

このため、わずか数10μmのコーティング膜厚中には、水蒸気に影響されにくい接着剤・電気的な犠牲防食材・収縮応力緩和のための充填材・強度と耐剥離性を両立させるための樹脂複合化・更に意匠的な着色と、多くの工夫がされています。

その熱伝導性確保と浸透物拡散を兼ねた薄い皮膜は、ピンホールレスではないため、塩酸等の下地金属が腐食するような環境では使用出来ません。しかし、下地金属が腐食しない環境であれば、4kgGスチームでも皮膜は剥離せずに、離型性・非粘着性を発揮出来ます。

では、塩酸・弗酸等の下地金属を腐食させる環境で有ればどうかというと、ピンホールレスの皮膜が必要になってきます。その目的は、金属缶体に穴があいて、内部の薬液が漏れ出すことを防止することに有ります。

この耐食用途としてはいろいろな材料が有ります。金属の場合は溶解してしまうため、ハステロイ・チタン等の耐食金属は安定な不働態膜を表面に張ったり、基準電位を上げて溶けにくくすることによって、自分が溶けることを防いでいます。また、単体ではどうしても溶けてしまうため、酸化物になって、溶ける速度を押さえているのがグラスライニング。FRP等の有機樹脂皮膜の場合は、条件によっては酸化・加水分解・アルカリ溶解のような化学反応で分解して行く場合があり、また条件によっては樹脂が膨潤し溶解して行く場合が有ります。そして、基本的に溶けたり、減ったりしない材料がフッ素樹脂皮膜です。

つまり、フッ素樹脂皮膜は溶けたりしないため、腐食代のような膜厚設計をする必要が無く、金属イオン等の溶出も基本的に少ないと考えられます。

では、問題はないかというと、「浸透」という大きな問題を抱えています。

フッ素樹脂は、腐食性薬液の浸透によって変化はほとんどの場合生じません。しかし、浸透した成分は金属缶体にまで達し、界面で凝縮し、いつかは金属を腐食させてしまいます。

さて、フッ素樹脂の耐食用途としては、大きく分けて「シートライニング」と「焼付皮膜」が有ります。

シートライニングの場合は、金属缶体の一部に貫通孔を明け、金属まで達した浸透物を系外に放出することによって、缶体に極端な腐食が発生することを防いでいます。

対して、焼付皮膜は浸透を抑制することによって腐食の発生を防いでいる違いが有ります。

日本フッソでの耐食コーティングの種類
耐水蒸気・塩水用耐食コーティング
(アルミニウム、ステンレス母材の場合)
耐水蒸気・塩水用耐食コーティング
(鉄のように水で腐食する母材の場合)
塩酸・フッ酸等に対する耐食コーティング
(鉄、ステンレス、アルミのように腐食する母材の場合)

水蒸気等の浸透物が、コーティングと母材の界面に凝縮し密着力が低下してくるが、数+μmの膜厚のため、無数のピンホールが存在し、ここから浸透物を戻し、ブリスターを防ぐ。

左記に加え、水蒸気等の浸透物によって鉄等の母材が腐食し、皮膜が剥離することを防ぐため、母材よりイオン化傾向の高い金属を含む犠牲防食層を設け、母材の腐食を抑制する。

ピンホールのない、かつ厚膜のコーティングによって、薬液の浸透をほぼゼロに防止する。一般に、耐食コーティングと言われるもの。

日本フッソでは、
NF-006、006XL
NF-008、015FDA 等の食品グレード
日本フッソでは、
NF-001V、004V、004ECV
NF-015V、018V 等の耐スチームグレード
日本フッソでは、
NF-014、014EC
NF-020、240、240EC
NF-715、716、726,726EL 等の耐食グレード
  • ●より性能が改良されたNFグレード例