フッ素樹脂コーティング講座

簡単にわかる「フッ素樹脂コーティング講座」

フッ素樹脂コーティングて、何?
No.1

フッ素樹脂とは、本来フッ素原子を含むプラスチックの総称です。つまり、アクリル樹脂にフッ素原子が入れば含フッ素アクリル樹脂になりますし、ウレタン樹脂にフッ素原子が入れば含フッ素ウレタン樹脂となり、フッ素樹脂には非常に広い範囲があります。

しかし、ここでは独断で、特にフッ素樹脂らしい?フッ素樹脂について述べてみます。(表:主なフッ素樹脂を参照)

表: 主なフッ素樹脂
種類(フルネーム) 特徴 代表値 焼付けコーティング / ライニングの用途
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン) 最も代表的なフッ素樹脂
特製は良いが、実質的に溶解しないためピンホールレスの焼付け加工が困難(パーフルオロポリマー)
融点: 327°C
最高使用温度: 260°C
溶融粘度: 1011-12poise
離型コーティング
PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体) PTFEと同等の特性を持つ
溶解するため、ピンホールレスの焼付け
加工が出来る(パーフルオロポリマー)
融点: 310°C
最高使用温度: 260°C
耐食ライニング
金属イオン溶出防止ライニング
離型コーティング
FEP(パーフルオロエチレンープロピレン共重合体) 耐熱性、耐薬品性がPTFEより少し劣る
非粘着性に最も優れている(パーフルオロポリマー)
融点: 275°C
最高使用温度: 200°C
耐食ライニング
金属イオン溶出防止ライニング
非粘着コーティング
ETFE(エチレンーテトラフルオロエチレン共重合体) 機械強度と耐放射線性が高い 融点: 270°C
最高使用温度: 180°C
耐食ライニング
PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン) 硬度が高くて、透明度が良い 融点: 220°C
最高使用温度: 150°C
耐食ライニング
ECTFE(エチレンークロロトリフルオロエチレン共重合体) 機械強度が高い 融点: 220〜245°C
最高使用温度: 150°C
耐食ライニング
PVDF(ポリビニリデンフルオライド) 機械強度が高い 融点: 156〜178°C
最高使用温度: 150°C
 
PVF(ポリビニルフルオライド) 耐候性が高い    
TFE/PDD(テトラフルオロエチレンーパーフルオロジオキソール共重合体) 非晶質で透明度が高く、かつ特定の溶剤に可溶    
参考資料
  • フッ素樹脂ハンドブック(日本フッ素樹脂工業会)
  • テフロン実用ハンドブック(三井デュポンフロロケミカル株式会社)
  • ポリフロンハンドブック(ダイキン工業株式会社)

フッ素樹脂らしさを端的に表しているものとしては、まずフッ素樹脂コーティングされたフライパンが上げられます。フッ素樹脂コーティングされたフライパンの表面では、ハスの葉の上を水玉が転がるような非粘着性が有り、油なしでも卵焼きがくっつかない離型性が有り、出来上がった卵焼きがスーっと滑る低摩擦性が有り、直火で使用してもフッ素樹脂が炭化したり、燃えたりしない耐熱性と耐燃焼性が有ります。

もちろん、たとえ食べてしまっても、胃や腸で吸収されることはなく、そのまま排出されてしまうため、人体には全く無害です。

また、耐薬品性が高い点では、薬品タンクのフランジに挟み込むフッ素樹脂のパッキンが有ります。そして、高い電気絶縁性・低誘電性の特長を生かし、かつ耐燃焼性が有ることよりいろいろな情報通信のケーブルに使用され、無くてはならないものとなっています。

このように素晴らしい特徴をフッ素樹脂は持っています。最も特徴の有るフッ素樹脂はPTFE樹脂です。これは、下図のように炭素原子に2個のフッ素原子がくっついた形の繰り返しで、フッ素原子の代わりに水素原子が有ればポリエチレンです。フッ素樹脂の素晴らしい特徴は、このフッ素原子と炭素原子の組合せに由来しています。

フッ素原子の電気陰性度はあらゆる原子中で最も大きく、炭素原子としっかり結合します。このため、完全にフッ素化された樹脂(=パーフルオロポリマー)は耐熱性が高く、耐燃焼性が有り、耐薬品性に優れています。

そして、炭素原子とフッ素原子がしっかり結合し、他の物質と結合したりしないため高い非粘着性を発揮し、かつ低摩擦性を持っています。このように素晴らしい特徴でフッ素樹脂は、家庭から産業界までのあらゆる個所で重要な働きをしているだけではなく、まだ現在も次々と新しい用途が開拓されている魅力的な材料でもあります。

しかし、この特徴は良いところだけではなく、実は問題でも有ります。たとえば、パーフルオロポリマーは高い非粘着性と離型性を持っているため、強固に接着できる接着剤は有りません。高い耐熱性を持っているため熱処理による加工は難しいものとなります。そして、耐薬品性が高いため化学的に除去することも出来ません。

このほかにもたくさんの問題が有ります。これらの問題点を解消することが加工メーカーの努力のしどころにもなっています。
次回は、非粘着・離型・耐摩耗などの表面特性について述べたいと考えています。

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