
- ノンメタル
- 腐食防止
- 異物防止
接液部・接ガス部を非金属に、シール面を非接触にすることで
可能となる総合的コンタミネーション対策
ファインケミカル製造等において用いられる反応槽・攪拌槽などでは、耐食性・クリーン性が要求されるため、フッ素樹脂ライニング機器が多用されています。またこれらの機器に組み合わされる部材においても、フッ素樹脂と同等の耐食性・クリーン性の両立が求められています。
今回紹介する「ノンメタル・ノンコンタクトシール」は、
- 接液部・接ガス部 非金属構成 → ノンメタル
- 静圧形ガスシール(シール面非接触) → ノンコンタクトの構成・シール機構
を組合せて使用することで、従来困難であった軸封装置での総合的コンタミネーション対策が可能となりました。
ノンメタル構成
竪型攪拌機用に適用した場合の構成例を示します。

機内物質に接触する部品は、非金属部品(カーボン材・セラミック等)のみで構成されており、フッ素樹脂ライニングと連なる独自の固定方法を用いることで「金属接触面がない=ノンメタル構成」が確立できます。この構成により、高い耐食性を確保すると共に、金属イオン溶出を大幅に低減することが可能となります。
ノンコンタクトシール機構
竪型攪拌機用に適用した場合の構成例を示します。

ノンメタル・ノンコンタクトシールは、「静圧形ガスシール」に分類されます。このシールは、外部より供給するシールガス(※1)を用いて、
- ホバークラフトの原理で、シールリングを10数μm浮上させ、非接触状態のシール端面を得ます。
- またシール端面にはガスのバリアが形成され、機内の気体を密封いたします(※2)。
- シールガスは、機内圧力(運転時最高圧)に対し+0.2MPaのN2ガス・ドライエアもしくは計装用エアが必要です。またシールの機能上供給ラインには、少なくとも0.3μmのフィルターが必要です。
- 供給されるシールガスは、機内と外部に流出します。そのためノンメタルPECは機内反応が気相反応の場合は、不適となります。
シール機構: ノンメタル・ノンコンタクトシールは、シール面の摺動磨耗によるゴミ・パーティクルの発生がありません。
その他、このシール機構により、さまざまな特徴を併せ持ちます。
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安定性
適正なシール面隙間を保つ自動隙間調整機能を有し、シールガス消費が安定しており、信頼性の高いシール性能が維持できます。
-
長寿命
シール面の磨耗がないため長寿命です。
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省エネ
摺動抵抗がありません。→ 動力損失極小。
-
広域速度性
非接触のため速度の制約がなく、0回転~高速域まで安定した性能を発揮します。
他方式シールとの比較
ノンメタル・ノンコンタクトシールは、ノンメタル構成とそのシール機構により、高い密封性を確保しつつ、
- 耐食性
- パーティクルの発生が極少 → クリーン性
- 長寿命・高安定性等
を特徴として併せ持っています。これらの諸特性における他方式のシールと定性的比較を示します。
シール性 | 耐食性 | クリーン性 | 安定性・寿命 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
ノンメタル・ ノンコンタクトシール |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
メカニカルシール (ダブル+封液) |
◎ | △ | × | ○ |
磨耗粉混入・封液の流入がネック 機能上、耐食性の確保も困難 |
メカニカルシール (ドライコンタクト) |
○ | ◎ | △ | △ | 磨耗粉の発生が最大のネック |
ラビリンスシール (シールガス有) |
× | ◎ | ○ | △ | シールガスの消費多 |
市場展開
ノンメタル・ノンコンタクトシールは、総合的なコンタミネーション対策をはじめ、優れた特性を有するため、これまでに数多くのご採用をいただくに至っています。その多くは半導体関連電子材料製造分野ですが、以下のような市場において有効に使用頂けると考えております。
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半導体関連電子材料製造
金属イオン溶出・パーティクル対策。
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食品・医薬品製造
雑菌・ゴミの混入対策。
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ケミカル関連
機内物質の大気流出が安全上認められないような曝露対策。